こんにちは!
デジタルファブリケーションを得意とする、ボランティアスタッフの富岡です。
最近では、「ものづくり」という言葉はすっかり世間に浸透したと思います。
ですが、実際にそれを行うということに対しては、まだまだハードルを感じている方が多いように感じます。
そんな方々に私が伝えたいのは
ものづくりに必要なのはたった二つだけ、それは 「思いつき」 と 「安全への配慮」。
ということです。
もちろん技術・知識・技能はものづくりに欠かせませんが、それらは我々スタッフによるサポートで十分に賄うことができます。
例えば、私は今日「何か浦和にちなんだ小物を作ろう」と思いつきました。
浦和と言えば「サッカー」、小物と言えば「アクセサリー」ということで、サッカーボールモチーフの指輪を作りたいと思います。
ものづくりをしたいと思っている方に必要なのは、基本的にここまでなんです。
あとはこの後の作業に対して「安全に行おう」という意識だけ持っていただければ、その思いつきを具現化するのは簡単です。
まずは、指輪で言うところの”石”の部分になるサッカーボールを、3Dプリンターで造形しましょう。
サッカーボールの3Dデータなんてつくれないよ・・・と思うかもしれませんが、安心してください。
最近では、こういった3Dデータはインターネット上でたくさんシェアされています。
(商用不可であったりするものもあるので、多少の吟味は必要です。)
今回はダウンロードした3Dデータに、123Dというフリーの3Dモデリングソフトを使って、リング部分に差し込む四角柱を追加します。
もちろん、こういったソフトウェアの操作もサポート致します。
できた3Dデータは専用ソフトで3Dプリンタでの造形データに変換し、3Dプリンタで造形を開始します。
造形物がのっているプレートは約100℃、樹脂を出しているノズル部分は約260℃になります。
また、動作している部分に指や髪、衣服などが巻き込まれる可能性もあります。
その為、造形中は必要以上に機械へ近付いてはいけません。
このように、危険性を知り注意を払いながら予防策をとる、という意識はものづくりには欠かせません。
3Dプリンターでの今回の造形は約1時間かかるので、その間にリングの部分を作ります。
石の部分とのアクセントのために、アクリルをレーザーで切りだして作りましょう。
まずは指の大体の直径を測り、加工データを作成します。
データは丸と四角を組み合わせた、非常に単純なものです。
Adobe Illustrator というソフトを使用していますが、”ベクタデータ”という線のデータを描ければ他ソフトでも問題ありません。
フリーソフトですと、Inkscape というソフトが使いやすいと思います。
このデータをレーザーカッターへ送り、アクリルから切り出します。
ついでに、ロゴも刻印しました。
レーザーカッターは、レーザー光をレンズで一点に集め、エネルギーを与えて熱を発生させて焼き切る、もしくは表面を焼き飛ばします。
アクリルのような樹脂材を切断する際には必ずしも人体に無害ではない気体や、鼻をつく異臭が発生します。
作業スペースの換気や場合によってはマスクといった予防手段、機械の集塵機能の確認が必要です。
また、局所的に材料を燃やしていますので、加工中に炎が上がる可能性にも注意しましょう。
切り出したのがこれらです。
透明のアクリルを、黒いアクリルで挟みます。
挟んだ後の接着には、アクリル用接着剤を使います。
この接着剤はアクリルを一旦溶かすことで接着させるタイプのものです。
空気中ではどんどん気化していくので、こちらも人体に無害ではない気体が発生します。
換気やマスクの着用といった予防手段をしっかりととりましょう。
リングができる頃にはサッカーボールの造形も大体終わっていました。
造形物はプレートの上に張り付いていますので、少し冷めてから革手袋を着用し、火傷と怪我に注意しつつスクレーパーで剥がします。
サポート材を除去して、四角柱の部分をリング部分に差し込んで接着すれば、指輪の完成です。
ボールの部分がちょっと大きすぎましたね^^;
こういった反省点も、実際に形にして着用してみるとよくわかります。
オープンしましたら是非皆さんも、思いつきとアイデアを携えて気軽に当施設へ足を運んでみてください。
長々とお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m