製版までの道のりは結構遠いです。

今回は版を作る為の重要な「感光乳剤」の準備。
まずは感光のしくみを簡単に説明します。
感光乳剤はジアゾ薬と乳剤を混合して作ります。
正確に言えば耐水性厚膜用感光乳剤(酢酸ビニール系)
仕組みはジアゾは紫外線を浴びると化学反応(硬化)します。

建築設計とかやっていた人ならば「青焼き」というのを使ったことがあるのではないでしょうか。
あの青い図面。そうそう「ジアゾ(焼き)」と言ってました。
今は見なくなりましたけど、市役所の建築課とか行けばあるんじゃないかな。
但し、少し酢酸臭いんです。
意外に身近な薬品なんです。
ジアゾだけでは強度がなく、弱いので乳剤を利用して強度を持った面として固形化します。
一言で言えば露光(光を通す)ことによって、紗に塗った感光液を固めています。
この時、柄を利用し、光を遮断する事で感光させる部分と感光しない部分(この部分が網自体の部分となってインクを押し出す事ができるのです。)を調整します。
柄の部分だけ感光液が固まらないので、洗い流すと柄の部分だけ抜け落ちます。
このしくみを理解していれば、失敗してもなんとなく失敗の原因がつかめると思います。
もし、柄が抜けない場合は、露光し過ぎ又は露光するまでに紫外線に当たってしまい感光液が硬化してしまっている可能性が高いです。
逆に柄以外のところまで抜け落ちるときは、露光時間が足りなくて感光液が硬化しきっていなかったということがあります。

そんな原理を理解しておくと思った通りのデザインができるようになると思います。

さて、準備を進めます。

1.どこでやればいいの?
理論からもわかるように光で固まります。だから、日差しが強い室内は苦手です。
夕方、部屋の明かりを消して。
しかし、そんな神経質にならなくても大丈夫。写真のように感度はそんなに良くはありません。
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今回用意したのはこのジアゾと乳剤がセットになったSD-40という材料。比較的感度が安定しているそうで一般的に良く使われています。
黒い筒が乳剤が入った遮光できる容器。アルミパックがジアゾ 6gしかありません。

2.ジアゾを温水で溶かす
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温水は約40度で96ccあまり神経質にならなくても大丈夫〜。
そしてよーく混ぜます。ダマが残らないように。ここをしっかりとしないと失敗します。
プリンのキャラメルみたいですが食べられません。

3.乳剤に混ぜます
乳剤は真っ白で900cc。
これに溶剤を混ぜて1000ccに。
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まったりとしていてナカナカ混じりません。
照明は気になりますが、根気良く混ぜましょ!
底の方に層になっていますので、ほじくり出して。
そして、だんだんとマーブル模様がなくなります。
約5分程度でしょうか、何とか攪拌完了。
1日気泡を飛ばす為に冷蔵庫で保冷します。
まるで料理教室です。

次回は紗に乳剤を塗ります。