自分の時間が出来始めて大変な事に気付きました。
そうです、挨拶してなかった。「おまえ誰?」って言われてしまいますね。

Opendayの時もFabの運営スタッフの紹介はさせて頂きましたが、経歴やFab、デザインとの関わりなどお話しできてませんでした。
言い訳になってしまいますが、楽しんでもらう主人公は来られた方々。というのが基本の考えです。スタッフは脇役であればいいんです。
上段から長〜い挨拶をされ、乾杯を待たされた事ほど辛い事はないですよね。暑いんだから早く飲もうよ。それが一番の価値観ですね。

さて、そんな事で私事になりますが、ちょっとお付合いください。
それと、この施設を利用して頂いている方がデザインに関わる方が多いのでちょっとでも仕事の参考になってもらえればと、そんな内容で。

経歴ですが、某プリンタメーカー(今はプロジェクターメーカー?ではと言われるようですが)でチャネルマーケッテイングを25年程経験させて頂きました。
どこの企業もそうですが、秘守義務契約があるのであまり細かな事は話せませんがご容赦ください。

チャンネルマーケッテイングって?
あまり聞きなれない言葉かもしれませんので、簡単に説明します。
メーカーが製品を作ろうとする時に「誰に」「何を」「どのように」マーケ用語で言えば3C4Pなどを考えます。本流のチャネルはこれが基本なのですが、ここはあくまでもボリュームがある市場に対してのアプローチです。しかし、世の中には今はちっぽけな市場かもしれないけどもしかしたら10年後に大きな市場になるかもしれなと仮定する市場が必ずあります。80年代、世の中はNECの88,98の世の中です。自社でも98互換機を販売していました。(98より高い製品を販売していたちょっと変わったメーカーです)
そうなんです私はそのニッチな市場を開拓する仕事でした。

その市場はappleのMacという世界。

clasic

若い方々には「え?」って言われるかもしれません。想像もできないかも知れませんが、その当時のMacは本当にオタクの人しか持てない(高くてとても個人では買えなかった)製品でした。ちなみにその当時やっとコンシューマー用のapple classicが製品化されましたがそれでもオプションを含めると100万近かったように記憶してます。(車を買うかMacを買うかそんな時代でした)
じゃ、誰がそんな製品を持っていたのかというとデザイン業界ではなく、(医科)大学の研究室の教授が殆ど。何故かと言うと研究論文というのはフォントの指定やフォーマット指定があって市販のワープロじゃ使えなかったからです。(英文ですし、ワープロ自体も何十万もした時代です。)
ちなみにそんな用途の対抗機種に出てきたのがSonyのNEWS。(教育分野用のWorkstationです)画期的だったんですが、UNIXベースのXwindowsだったので使いこなせなかった時代だったんでしょうね。
今となれば、DTPなんて死語かもしれませんが、その言葉自体がまだ無かった時代です。(印刷はアナログ組版、活版の時代です)
話が反れましたが、当時、Macに触る事自体、壊したらどうしようかなんて考えていたので使える人も限られていました。
私の場合、事業部の開発部門が米XEROX社の8080というX-window機をDocument workstationとして使用していた事もあり何の抵抗もなく入って行けました。8080というのは本当に凄いマシンでネットワーク、DTPという概念が本当に始まり出した時代にWorld wideの事業部を横断し、Document作成、共有、管理を一括してできるという夢のような機械でした。Webブラウザーにnetscapeというのがありますが、確かそのブラウザーもこのマシンが発端に開発されたように記憶しています。それもこの8080を使っていた5-6年後なので如何に最先端の機械だったかが判ります。その頃、あと何年かするとこんな機械が手に届く時代が来るのかなと期待していたものです。

そんなニッチなマーケットですが、どうしたら顧客の課題を解決できるか。補完的な生産者となれるか。そうですユーザーの真のニーズを掘り出す為に、バラバラなニーズを開発部門にフイードバックして、試作品的な製品を販売してもらえるチャンネルを作っていくというのが私の仕事でした。当然、物理的に接続できない課題、アプリ連携する為には他社としてどうすれば良いかなど。Pluginというツールを作ったのも初めてだったかもしれません。ある時は営業、ある時はマーケッター。ある時は開発でマニュアルを自分で作ったり。やる事は山のようにありました。でも楽しかったです。世の中に無い物を作るワクワク感が。
Macも徐々にグラフィック能力を武器に印刷、デザイン分野で拡大していきます。テキストベース(ASCII)の時代からグラフイカルな時代に変わっていきます。その後はデザインアーツ、プリプレス用途がメイン分野になるのですが日々勉強とトライ。まさにPDCAを回す日々でした。

基本な考えは「なければ作ればいいじゃないか。」それが私のDNAであり、武器かもしれません。
少し長くなってしまいました。Mac、印刷業界、デザイン業界の話をしだしたらキリが無いので次回ご紹介します。
では。